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適切な提言が無視し続けられた2020年後半
イシ: だんだんしんどくなってきたけれど、せっかくだからもう少し復習しておきますね。
2020年も夏くらいになると、かなりいろいろなことが分かってきました。
国際医療福祉大学の高橋泰教授らがまとめた「新型コロナの実態予測と今後に向けた提言」という論文などは、かなりしっかりまとめられていたという印象があります。
その内容は、
- 新型コロナはインフルエンザウイルスに比べて毒性が弱く、体内に入っても感染しない(自然免疫の段階で身体が打ち勝つ)ケースが多い。
- 日本ではすでに30〜45%の人が体内にSARS-CoV-2を取り込んだことがあると思われる。その後、感染はしなかった(細胞内にまで入り込まれなかった)場合は抗体検査もマイナスに出る。
- 東アジアの人たちは、何らかの要因で、この「ウイルスを取り込んでも感染しない」あるいは「自然免疫だけで打ち勝ったので無症状や軽い風邪症状くらいで済んで、その後、抗体も作られていない」割合が欧米人よりずっと多いのではないか。
- COVID-19で重症化する理由の1つは、今回のウイルスパンデミック以前にあったS型コロナウイルスの感染による抗体が、「抗体依存性免疫増強(ADE)」効果を引き起こし、ある時点で容態急変を起こすというもの。
- そういうウイルスであるという前提でのシミュレーションを行うと、欧米のような強力な対策をしなかった日本で極端に死者が少ないことが説明できる。
- もしインフルエンザ並みに強力なウイルス(暴露すると100%抗体が陽性反応を起こす)であれば、現時点で日本人のほとんど(1億人以上)はSARS-CoV-2を体内に入れていないということになってしまう。もし、そうならば、これからウイルス暴露が広がれば、今後500万人以上が重篤化し、300万人以上が死ぬ計算になってしまうが、現状を見る限り、そうであるとは思えない。
- よって、一律に何かを禁止したりするのではなく、年代によってリスクが著しく違うことを考慮した対策が必要である。
- 患者動向を的確にモニタリングし、また遺伝子解析を早急に行い、現在の新型コロナと同様のウイルス株の再来か、毒性や繁殖力が以前より強くなった「発症力」が高いウイルス株が現れたのか、あるいはより「重症化しやすい」ウイルス株なのかを早急に見極め、それぞれに応じた対策を行えるような体制を早急に整備することが重要。
- 現在と同程度のウイルスであると分かっている間は、軽度の患者の対処基準を現状より軽くするべき。
- 日本の現場で使用されている新型コロナ治療薬の薬効を評価できるデータを集める仕組みを早期に立ち上げるべき。また、日本人が重症化しにくい原因の解明は、他国の研究からは期待できないし、欧米人の薬効データは日本では参考にならないので、国内で使われている薬の効果を示すデータを多施設から吸い上げ、薬効を評価できるビッグデータを収集する仕組みを至急作るべき。
……といったもので、今読んでも極めて適切な提言でした。(
原文は⇒こちら)
吾狼: ぼくもそれは読みました。2020年7月の時点ですでにあれだけ正確な予測や適切な提言をしている人たちがいたのに、政府はまったく参考にしませんでしたね。
幽大: この国ではいつもそうだな。優秀で誠実な学者や現場で奮闘する者たちがいるのに、政治がそれを生かせないどころか、邪魔をする。
イシ: この時点ではまだワクチンは登場していなかったけれど、ワクチン待望論が世界中で盛りあがってて、私はすでに違和感を感じてました。急いで作るといったって、1年、2年でできるもんじゃないのに、と。
吾狼: