『自然エネルギーの罠』(武田恵世・著) 最初の部分のまとめ
2015-03-04


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◇『自然エネルギーの罠 化石燃料や原子力の代わりになり得るエネルギーとはなにか』(武田恵世・著)
1〜3章までの要点 メモ

序盤に書かれていることをまとめてみました。
まとめるにあたって、表現を若干変えたところ、追補したところもあります。
★で始まる見出し部分は、より深く説明するためにたくきが追補した内容で、本書に直接書かれたものではありません。



■自然エネルギーには2種類ある
風力や太陽光⇒天気任せで調整できない
地熱、水力、バイオマス⇒需要に併せて微調整できる
この両者を分けて考えるべき

■自然エネルギーによる発電で化石燃料消費は減らせない
風力や太陽光発電を増やすには、発電できない(無風、夜間、雨天など)ときのバックアップ電源が必要で、それは火力か水力。しかし今の日本では風力や太陽光を増やした分のバックアップ電源として火力や水力を増やしているわけではない。
電力会社に訊ねると「風力やメガソーラーが発電している時間帯に火力発電所の発電量を下げた記録はない。い。現状ではそれらは電力系統全体の1〜2%以下にすぎず、『誤差』の範囲内だから無視している」との答え。
実際にはその「誤差」を超えた電力を風力などが級に発電してしまうと消費電力を超えて発電され、システムのトラブル・停電の危機になるので「解列」といって送電系から切り離してしまう。

■ヨーロッパでは風力発電が増えすぎて問題に
ヨーロッパはポルトガルからロシアまで全域50Hzで統一され、送電網もつながっているので許容できる『誤差』の範囲も大きい。それでも急に風がやんで風力発電からの送電がなくなったとき、バックアップの火力が対応しきれず、大停電寸前の危機になったことが何度もある(経産省報告書 2004)。
風がやんだときに火力がすばやくバックアップするには常に低出力で待機していないといけないので、燃費が悪くなり、ドイツ、スペイン、フランスなどでは、風力発電所の増加によってかえって化石燃料の消費が増えた(NEDO 2008)。化石燃料の節約にならないまま「風力を増やす」ことが目的化してしまったための本末転倒。

■風力発電に関してはいまだに大きな技術革新がない
発電の不安定さを補うため、ディーゼル発電機と組み合わせたハイブリッド型、蓄電池併用、高速フライホイール型など、いろいろな策が出てきたが、どれも本格実用化に至っていない。結局、装置をやみくもに大型化しただけで、弊害も大型化しただけ。

■風力やメガソーラーの目的は発電ではなく、企業の利益
ヨーロッパで失敗した「自然エネルギー優遇策」をそのまま真似た日本では、補助金や高額買い取りなどで儲かるとふんだ企業が先物買い、売り逃げ感覚でこの業界にとびついた。発電施設を作る際にほぼゼロ金利で融資してくれる日本政策投資銀行、日本政策金融公庫はともに財務相所轄の特殊会社で、政府が100%出資している。つまり原資は税金。
ドイツでは鉄工や化学産業などが再エネルギー賦課金を減免されているが、これに対してEU委員会は「特定の企業の割引きは実質的な補助金で市場競争を阻害する不公正」として調査を開始。
スペインでは高い買い取り価格にむらがって風発やメガソーラーが激増したため電力会社が大赤字になり、国の財政も圧迫。買い取り価格を下げざるをえなくなった。

■企業の多くは再エネルギー賦課金免除。負担しているのは一般庶民
高い電気を法律で無理矢理買い取らせるための固定買い取り制度を支える「再生可能エネルギー賦課金」は一般ユーザーの電気料金に上乗せ(再生エネルギー特措法)。

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