禺画像]
経団連の要求にこたえる形で、大量の電気を使う企業は再エネルギー賦課金の80%以上は減免に。その大義名分はいつものように「企業活動を守り、国際競争力を維持するため」。
「日本は世界で唯一の社会主義国家の成功例だ」と言った学者がいたが、社会主義国家というよりは「会社主義国家」。個人の生活・幸福より会社(企業)の利益が優先され、企業が儲かれば個人の生活もよくなるという理屈で今も基本的な政策が立てられている。
■再エネ買い取り中止は詐欺でも裏切りでもない
2014年秋に電力五社が再エネの買い取り中止を発表して騒ぎになったが、あれは再エネ特措法に最初から明記されていること(電力系統に影響を与えない範囲を超えたら買い取らない)が実行されただけ。
再エネ事業者は再エネが最初から自立できる事業だとは思っていない。このレートで確実に買い取ってもらえるなら儲かるに決まっているから参入しよう(金儲けがしたい)という動機で始めたのだから、同情の余地などない。しかも、すでに初年度の最高価格で登録できた事業者は20年間変わらない高額買い取りを約束されているが、その金は電気料金に上乗せされ、一般消費者が負担し続けなければならない。
■すでにできあがっている「再生可能エネルギー利権」ムラ
2010年まで風力発電建設には建設費の1/3〜1/2の補助金が出ていたので、それを目当てにCEFや日本風力開発などの風力発電事業者がどんどん大型ウィンドファームを建てた。CEFは建てた後は電力会社系子会社に施設を丸ごと売却して一部売り逃げたが、日本風力開発などは何度も倒産の危機に陥っている。融資元の日本政策投資銀行は「風力発電による健康被害はすべて気のせいだ。環境省は騒音基準35dBなどという厳しい規制をせずにもっと進めるべきだ」と主張(日本経済新聞 2013)。
その日本政策投資銀行の参事・山家公雄氏は「風力発電に反対するのは全国的な組織やプロ的な組織で地元住民ではない」などと言っているが、こういう言い方はかつて原発推進派が「原発反対を唱えている人たちは何にでも反対する人たち。全国的なプロ組織、プロ市民で、過激派とつながっている」などと吹聴していたのとそっくり。
その山家氏が所長を務めるエネルギー戦略研究所は「中立的なエネルギーシンクタンク」だと主張しているが、実は何度も倒産しかけている日本風力開発の子会社。
新潟県村上市では、市だけでなく周辺の町も賛成して洋上風力発電計画を進めている。その事業の代表をしている名古屋大学の洋上風力利用マネージメント寄附研究部門・安田公明教授の教室は、省庁OBや風力発電業界団体代表、建設会社代表などが客員教授にいて、産学官一体となって洋上風力を進めようという部門。
「洋上風力は灯台と同じでバードストライクは問題ない」「健康被害は一部の人だけだから大丈夫」「真冬はメンテナンスは考えてない」「観光客が増え、工事屋メンテナンスの仕事も増えて地元も大いに潤う」「風発が魚礁になって魚が増えるし養魚場にもできる」などなど、疑問だらけの発言をしている。
■自然エネルギーだけで日本国中の電力をまかなえるという大嘘
風力発電で100万kwの原発1基分の電力を作ろうとすると、定格出力2000kwの大型風車が風速12m以上の風を得て最高出力で発電している状態でさえ500基必要という計算になる。500基を相互干渉させずにローター直径(80m)の7倍離して一直線に並べたら、約280km。京都から広島までの距離が必要。しかも常時風速12m(傘がまともにさせないほどの強さ)の風が吹いているなどありえないので、まったく不可能な話。
ちなみに紙片が舞い上がるくらいの風を、人は「今日は風が強い」と感じるが、これは風速8mくらい。風速8mだと風力発電機は定格出力の1/8しか発電できない(発電量は風速の3乗に比例)。
メガソーラーだと約5600ヘクタール(山手線圏内より広い)が必要。費用は5.8兆円と試算されている。これがかんかん照りの日中に発電できるのが原発一基分。