2011-09-01
ここにきて、避難所にボランティアで入っていた人たちからいろいろな話が伝わってくる。
双葉町の避難所となったリステル猪苗代(豪華リゾートホテル)では、「被災者」が、猪苗代町の地元の人たち中心のボランティアが炊き出しで出した食事に対して、
「こんなまずい飯が食えるか」
と文句を言って、不要な軋轢を生んだという。
同じ双葉町住民の避難所となった旧騎西高校にボランティアで入っていた人たちは、避難してきた人たちが、
「自分たちは、一生、国と東電が面倒みてくれる」
「原発敷地内の草取りは時給2,000円だった。今さら時給800円でなんて働けるか」
といった会話をしているのを聞いてショックを受けたという。
無論、こんな人たちは例外で、ほとんどの人たちが苦労していることは分かっている。しかし、こうした発言は人伝えでどんどん広がっていく。
彼らは自分たちの言葉がどれだけ周囲の人たちに衝撃を与えているか理解していない。その意識のズレに気づいていないことが、まさに「原発依存体質」の証明なのだ。
ビッグパレットは福島県内最大の集団避難所になっていたが、8月31日で閉所になった。
テレビのインタビューに「寂しくなるねえ」と答えていた人たちは、それが視聴者にとってどれだけ違和感のある言葉なのかに気づいていない。
避難所周辺のパチンコ店は連日大盛況。駐車場にはぴかぴかの新車が何台も見うけられた。義援金や東電からの仮払金で新車に買い換えたという人が少なくなかったという。
避難所内ではものが溢れていて、食器や寝具、衣類なども大量に配られた。それらを何度も受け取って、自分の車に積んで村の家に運び込んでいる人も多かった。
村に残っている人たちは、ものを満載した車で時折戻ってくる隣人に、「避難所は天国だよ。なんにもしなくても毎日飯が食えるんだから。今からでもおいでよ」と言われたと、情けなさそうに語っていた。
川内村では、「緊急時避難準備区域」解除になった後も村が出した「自主避難指示」をそのまま有効だとして続けるのだそうだ。
「帰っても安全だという担保が取れないうちは戻れない」と言うが、村の子供たちは川内小学校より放射線量の高い郡山市の小学校に間借りしている。
川内村の中心部の放射線量が高くて危険だというなら、福島県内に住める場所はほとんど残っていない。少なくとも中通りにはない。
ところで、「義援金」は国や県を通じて各自治体に渡っているが、そこから先、被災者にどう分配するかは自治体が決めている。
●双葉町の場合
【一次配分】:原発避難指示世帯に対して一律40万円(国:35万円、県:5万円)
【二次配分】:3月11日時点で双葉町に住民登録があった人、および住民登録はないが町内に生活の実態があった人に対して世帯員一人あたり25万円(国:21万2000円、県:3万8000円)
●川内村の場合
【村に直接届いた義援金の分配】
3月11日現在、川内村住民基本台帳に登録していた人一人あたり5万円
【国・県からの義援金 一次配分】
3月11日現在、東京電力福島第一原子力発電所から30kmの圏内に居住していた世帯(全域該当だが、別荘や空家などは対象外)に対して一世帯40万円(国義援金・35万円、県義援金・5万円)
【国・県からの義援金 二次配分】
川内村住民基本台帳および外国人登録名簿に登録されていた人、1人あたり28万円。
川内村住民基本台帳登録のない場合で、3月11日現在居住していて第1次配分金の該当になった世帯は1世帯として28万円。
これに加えて、東電からの仮払い補償金が、一次で100万円(一世帯あたり)、二次で一人最高30万円支払われる。
……つまり、家が壊れていなくても、家族が全員生きていても、例えば5人家族なら
双葉町で415万円(義援金一次:40万円、二次:25万円×5人で125万円。合計165万円。東電から一次:100万円、二次30万円×5人で250万円。全部で415万円)
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