移住先の災害時危険度を考える
2021-01-14


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地方移住のススメ(4)

都市部から地方へ移住する理由の一つとして、災害に遭う確率を減らしたいから、というものがあります。
大都市に住んでいるだけで、大地震などが起きたときに命を落としたり財産を一瞬のうちに失う確率は上がります。
しかし、どれだけの人がその危険度を冷静に計算できているでしょうか?
ここでは、真の災害危険度を、大きなものから小さなものまで含めて、冷徹に考えていきます。

都市部の災害危険度が高いのは明白

 最初に指摘したいのは、都市部で暮らすことの危険性が年々上昇しているという点です。
 国は、今後30年の間に、関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる南海トラフ地震と、首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震が70%の確率で発生すると予測しています(内閣府「防災情報のページ」)。
 この数字を冷静に見つめ直してみてください。東京、名古屋、大阪などの大都市圏で大規模地震が発生した場合、「仕事が」とか「学校が」とか言っていられません。人口密集地帯でライフラインが破綻すれば、間違いなく地獄絵になるでしょう。
 これからの時代、いちばんの安全要素は「空間の広さ」です。人口密度が低いこと。住居の周囲や建物の生活空間にゆとりがあること。電気や水道が止まってもなんとかしばらくは生き延びられる環境こそが最大の「保険」です。
 それは都市部では望めません。どんなにお金を持っていても、コンビニで食べ物や水を買うこともできません。豪華なタワーマンションの部屋も、一瞬にして空中牢獄のような場所になりえます。
 命を落とすことがなかったとしても、職場も、学校も、商業施設も、長期間にわたり使えません。
 そうした危険の度合いが、空間にゆとりがある地方の生活では、ぐっと低くなります。
 もちろん、目下問題になっている新型コロナウイルスなどの感染症へのリスクも、人口密度の低い地域ほど感染の確率が下がることは言うまでもありません。

自然災害に遭う確率と生き延びる確率

 中越地震で家を失った経験からは、多くのことを学びました。
 まず、地震災害については予測が不可能だ、ということです。
 前述のように、国は南海トラフと首都直下型地震が今後30年の間に70%(!)の確率で発生すると警告しているわけですが、ここ数十年に起きた大きな地震を思い起こしてみると、ほぼ「想定外」の場所で起きています。
 中越地震は2004年10月23日に起きました。最大M(マグニチュード)6.8、最大震度7という規模の地震が連続して起きたのですが、これは日本で計測震度計が震度 7を観測した初めての地震でした。
 私の家があった川口町の地震計は2,516ガルを記録しましたが、これは当時、世界最高の数値(世界新記録)です。そういう激烈な揺れが襲ったのですから、震源地ドンピシャにあった我が家が潰れるのも当然です。
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↑地震で滅茶苦茶になった我が家。2004年11月5日撮影)
中越地震で家を失った記録は⇒こちら
 この地震による死者は68人でした。
 68人?
 こう言うと怒られるかもしれませんが、地震の規模に比べて奇跡のように少ないと思いませんか?
 ここで、平成に起きた大きな地震を振り返ってみましょう。
阪神・淡路大震災
   平成7(1995)年1月17日。震源:淡路島北部。震度7(当時は計測震度計の適用外。後の現地検証で震度7とされた)、M7.3
   死者・行方不明者:6,437人

鳥取県西部地震
   平成12(2000)年10月6日。震源:鳥取県西部。震度6強、M7.3
   死者:0人

新潟県中越地震

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