児玉龍彦氏が警告する低線量被曝、内部被曝による癌発症の危険性・追補
2011-07-30


 一方、福島に住む母親の母乳からは2〜13ベクレルのセシウムが検出されているとすでに報告されている。この現実には愕然とするしかない。

 この最後の部分、日本バイオアッセイ研究センターの福島昭治氏の研究については、7月26日の東京新聞夕刊に掲載された『論壇時評 放射能との闘い』(金子勝)でも紹介されているので、その部分を抜き出す。

児玉龍彦「『チェルノブイリ膀胱炎』 長期のセシウム137低線量被曝の危険性」(『医学のあゆみ』7月23日号)によれば、日本バイオアッセイ研究センター(神奈川県)所長の福島昭治博士らによって、前癌状態である「増殖性の異型性変化を特徴とする『チェルノブイリ膀胱炎』」が発見されている。
 そして、「すでに福島、二本松、相馬、いわき各市の女性からは母乳に2〜13ベクレル/kgのセシウム137が検出」されており、この濃度は、福島博士らが調査した「チェルノブイリの住民の尿中のセシウム137にほぼ匹敵する」。
「そうすると、これまでの『ただちに健康に危険はない』というレベルではなく、すでに膀胱癌などのリスクの増加する可能性のある段階になっている」と警告する。

 福島昭治氏の論文は、一部、WEB上でも読めるので、ひとつを紹介しておきたい。

 ウクライナのチェルノブイリ原発事故後、周辺汚染地域では過去15年間で膀胱癌の発生頻度が約1・6倍に上昇したと報告されている。その原因として現在も土壌中に残存する低レベルCs137の長期間暴露が考えられる。我々は臨床的に膀胱がん症状のない汚染地域住民の膀胱粘膜に、上皮異形成や上皮内がんを含む膀胱がんの発生率が、汚染地域住民の24時間尿におけるCs137(セシウム137)レベルにほぼ比例して上昇していることを見いだした。
 我々はまた、汚染地域住民の膀胱に上皮異形成や粘膜内癌を高頻度に伴う特異的な慢性増殖性膀胱炎を見いだしチェルノブイリ膀胱炎と命名した。その膀胱病変においてはp53、p21、サイクリンD1等、様々な癌関連遺伝子が異常発現していると共にiNOS、 COX2なども異常発現しており、この地域の膀胱病変発生には酸化的ストレス傷害が深く関与することを証明した。
 さらに、原発事故後に認められた膀胱癌が事故前に同地域で得られた膀胱癌と比べp53遺伝子変異頻度が有意に低く、この地域の膀胱癌発生のメカニズムが一般的な膀胱発癌と異なった経路で発症する可能性が示唆されたため、近年その異常発現がヒト膀胱発癌に深く関与すると考えられているgrowth factor receptorの発現を免疫組織学的に検索した。
 その結果、抗FGF-R3、抗EGF-R1、抗EGF-R2抗体について汚染地域の症例は非汚染地域症例に比べ有意に高い染色性を示し、汚染地域住民の膀胱粘膜病変の発生にはこれらgrowth factor receptorの発現も関与していることが判明した。以上、これまでの研究によりチェルノブイリ原発事故後の周辺汚染地域住民には膀胱癌が多発する傾向にあり、またその発生原因に関しては現在一般的に考えられている膀胱発癌経路と異なった経路で発生する可能性があることが示された。
(科学研究費補助金データベース http://kaken.nii.ac.jp/d/r/00137077 より)


 本当に残念なことだが、3月15日以降、1Fの北西に留まっていた人たちは、かなりの内部被曝をしてしまっている。ヨウ素を身体に入れてしまった子供たちは特に心配だ。
 我々は、人類史上初めてと言ってもいい規模の被曝実験動物になってしまった。

以下は、児玉龍彦氏が7月27日の衆院参考人招致証言で使った解説資料(児玉氏のフェイスブックより http://www.slideshare.net/ecru0606/ss-8725299)
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