COVID-19について、感染症対策の専門家たちはどう発言しているか、まとめてみた。
参考にしたのは、
- 岡田晴恵(白鴎大学特任教授・専門は感染症学、公衆衛生学、児童文学)……連日テレビに出演し、すっかり顔が知られているあの人。
- 岩田健太郎(神戸大学病院感染症内科診療科長・教授)……YouTubeにクルーズ船内の状況がひどいという動画をUPして注目されたあの人。
- 高山義浩(厚労省技術参与)……岩田教授のYouTube動画についてフェイスブックで一部訂正・反論するコメントを出して注目された人。
- 上 昌広(医療ガバナンス研究所理事長・元東京大学医科学研究所特任教授)……「そもそも総研」の玉川氏のインタビューなどで、政府がCOVID-19の感染検査を本気でしようとしていないことを批判。
- 高橋 央(新ゆり内科院長・米国CDC実地疫学認定医。2003年にはWHO短期コンサルタントとして、フィリピンSARS封じ込め チームリーダーとして活動)……2月23日放送の日本テレビ「バンキシャ!」では「東京五輪を強行突破で行ってはいけない。引き返す勇気も必要」と発言。
……など、感染症研究を専門とし、学術だけでなく、実際にパンデミック現場を生で見てきた人たち。
全員がほぼ一致しているのは、
- 日本での感染はすでに拡大期に入っており、今からできるのは感染者・重症患者の増加カーブをなだらかにする努力だけ
- ピークカーブを押さえてカーブをなだらかにするために、収束時期が遅くなることは仕方がない
- 感染ルートはもはや追えないし、追っても意味がないので、これから出てくる重症者をいかに減らすか、重症者を死なせないかが最大の課題
ということだ。
以下、いくつかの意見・見解をまとめてみた。
高山義浩氏が 2020/02/16 にFacebookに投稿した文章の要点
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- 新型コロナに感染したときの臨床像は、上図のような2つのパターンに分けられる。
- 大半の人は、風邪症状が1週間ぐらい続き、そのまま軽快する。普通の風邪は2、3日で治るが、新型コロナだと長引くのが特徴。
- その1週間で軽快しない場合は、倦怠感と息苦しさが出てくる。体のむくみや下痢などが出ることもある。高齢者や基礎疾患のある人がここまでこじらせやすいが、子供は稀。
- 感染してから発症するまでの潜伏期間は5日(1-11日)ぐらい。入院を要するほどに重症化するのは、さらに10日(9.1-12.5日)経ったころだと見積もられている。
- 感染力が強いのは、発症から3〜4日目ぐらいだと考えられるが、重症化すると感染力も維持されて院内感染を引き起こしやくなる。
- 世代別の疫学報告がまだ出揃っていないので正確なことはいえないが、ざっくりとした印象では、若者の重症化率と致命率はほぼゼロではないか。一方、感染した高齢者の1割ぐらいが重症化して、1%ぐらいが死亡するのではないかと感じている。要介護高齢者や入院患者では、さらにリスクが高まる。
……とした上で、
- もはや、流行を抑止することは主たる目的ではない。重症化する人を減らし、死亡する人を極力減らすことに力を注ぐべき。
- 高齢者や基礎疾患(糖尿病、高血圧、腎臓病など)のある人(=ハイリスク者)に感染させないようにすることが最重要課題。
- このような家族がいる場合、ウイルスを外から持ち込まないように、玄関先にアルコールを置いて帰宅時の手指衛生を徹底すること。
- 同居人が風邪をひいたら、症状が治まるまで家庭内で隔離。難しければ、ハイリスクの者を親族の家などに疎開させる。
- 風邪症状に過ぎないのに新型コロナかどうかを確認するためだけに、救急外来を受診することは避ける。そこでハイリスク者に感染させてしまうことになりかねないから。