世の中は「新型コロナウイルス」(以下「COVID-19」と表記)のことで連日大騒ぎになっている。
分からないことだらけだが、2月21日の現時点で見えてきたことをまとめてみる。
COVID-19について分かっていること
- 感染力は強く、当初言われていた接触感染、飛沫感染の他にエアロゾル感染がかなりあるのではないかという情報やデータが出てきた
- 感染しても気づかないくらい抵抗力のある人もいるが、その人たちも人に感染させる可能性はあるのでやっかい
- 発症後の症状の最大特徴は「経験のないほどの倦怠感」で、起きて動く気力もなくなるほど。他に、なかなか下がらない熱、咳、ときには下痢など、風邪に似た症状
- 若年層は感染しても症状が出なかったり、出ても回復が早く、ほとんど重症化しない
- しかし、高齢者や持病のある人は風邪症状が続いた後、一気に重症化し、死に至ることもある
⇒(そのため、致死率は高齢者(65歳〜)とそれ以下で分けて算出したほうがいいのではないか?)
- 重症化の初期タイミングで抗HIV薬の投与により症状改善が望めるらしい
- 日本での水際作戦は失敗し、2月下旬時点で、すでに日本国内での市中感染がどんどん拡大している
- 終息予測はたっていない。SARSのときのように気温が高くなれば弱まるのかも不明。一旦感染した人が抗体を持ち、再感染しないのかもよく分からない
ダイヤモンドプリンセス号問題
次に、注目を集めているダイヤモンドプリンセス号の乗員乗客の状況と、それに対する日本政府の対応については、こうなるだろうか。
- 船籍はイギリス、運営企業はアメリカ(ダイヤモンドクルーズ社)。2月3日に横浜港沖に停泊した時点で乗客は2666人、乗組員が1045人(合計3711人)が船の中にいた
- 乗客の国籍は56カ国・地域に渡り、このうち日本人の乗客はおよそ半数の1281人(*)。乗組員の国籍構成は詳細不明だが、ほとんどは東南アジア、南アジアの人たちらしい
- 1月20日 横浜から出航。香港やベトナム、台湾、沖縄をまわって2月4日午前に横浜に帰港するスケジュールだった
- 2月1日 香港で下船し帰国した乗客(80)がCOVID-19に感染していたと香港政府が発表
- 2月3日 夜、予定より早く横浜港に到着。着岸はせずに停泊し、日本政府の検疫下に置かれる。厚労省から派遣された検疫官が入船し、発熱などの症状がある人を確認
- 2月4日 この日の夕食までそれまで通り船内のレストランで食事を提供。シアターやカジノ、カラオケも営業していた(*)
- 2月5日 乗員乗客のうち10人にCOVID-19感染が確認される。乗客全員を自室待機にする隔離措置を開始
- 以後、発熱などの症状がある人を中心に感染検査を進めるが、検査体制が1日数百人規模のために追いつかず、検査結果が発表されるたびに感染者数が増大していく。この日、後に死亡する女性Aさん(84・基礎疾患なし)が発熱
- 2月6日 乗組員にマスク着用命令が出る(*)。Aさんが発熱を訴えて船内医務室で受診
- 2月10日 後に死亡する男性Bさん(87)が発熱。翌11日に下船して入院。5日に発熱したAさんが船内で問診を受け、投薬・点滴・ウイルスの有無を調べるため検体を採取
- 2月11日 Aさんが船内で再々受診。医師は入院が必要と判断
- 2月12日 DMAT(災害派遣医療チーム)などの医師38名、看護師36名、薬剤師17名が診療にあたるも、感染者は毎日確認され、累計が増え続ける。感染者のうち4人(うち日本人3人)が重症化し、集中治療室にて人工呼吸器をつけての治療(*)。
5日に発熱したAさんがようやく下船し、病院に搬送される。入院後、前日採取された検体検査で陽性が確認される。さらには検疫官1人も感染が確認される