「不条理社会」に生きる
2018-11-07


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……と、ここまで考えてくると、「人間社会」というものが少しだけ見えてくるし、その中で生きていくしかない自分というものにも、静かに向き合える気がする。

テレビドラマより分かりやすい善悪劇

東京電力の旧経営陣3人(勝俣恒久、竹黒一郎、武藤栄)が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判は、2018年10月末現在、第33回公判まで進んでいる。
その内容が、NHK NEWS WEBの特別ページにまとめられている。
他に、元朝日新聞記者の添田孝史氏が書いているLevel 7 News「公判傍聴記」(添田孝史)というシリーズがよくまとまっていて読みやすい。まるで法廷ドラマを見ているようだ。
これを『下町ロケット』みたいなノリでテレビドラマ化してくれないものだろうか。
こういうの↓をそのまま脚本にするだけでいいから。
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Level 7 News「公判傍聴記 証人証言一覧」より

高尾氏ら現場の技術者は、2007年11月からずっと対策の検討を進めていた。「対策を前提に進んでいるんだと認識していた」と高尾氏は証言した。それが2008年7月31日、わずか50分程度の会合の最後の数分で、武藤副社長から突然、高尾氏が予想もしていなかった津波対策の先送りが指示される。高尾氏は「それまでの状況から、予想していなかった結論に力が抜けた。(会合の)残りの数分の部分は覚えていない」と証言した。今回の公判のクライマックスだった。
添田孝史 第5回公判傍聴記
この時期の東電「裏工作」で最も悪質なのは、先行する他社の津波想定を、自分たちの水準まで引き下げようとしていたことだろう。
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高尾氏は、武藤氏の指示のもと研究者への説得工作も行っていた。2008年10月ごろ、秋田大学の研究者に面談した際の記録には「長期評価の見解を今すぐ取り入れないなら、その根拠が必要でないかとのコメントがあった」「非常に緊迫したムードだったが、(東電の方針を)繰り返し述べた」と書かれていた。大組織のサラリーマンの悲哀を感じさせる記録だった。
同・第6回公判傍聴記

高尾氏の証言を聞いていると、2007年以降の福島第一原発は、ブレーキの効かない古い自動車のようだった。
ブレーキ性能(津波対策)が十分でないことは東電にはわかっていた。2009年が車検(バックチェック締め切り)で、その時までにブレーキを最新の性能に適合させないと運転停止にするよ、と原子力安全委員会からは警告されていた。ところがブレーキ改良(津波対策工事)は大がかりになると見込まれ、車検の日に間に合いそうにない。そこで「あとでちゃんとしますから」と専門家たちを言いくるめて車検時期を勝手に先延ばしした。「急ブレーキが必要になる機会(津波)は数百年に一度だから、切迫性はない」と甘くみた。

一方、お隣の東北電力や日本原電は車検の準備を2008年には終えていた。それを公表されると、東電だけ遅れているのがばれる。東電は「同一歩調を取れ」と他社に圧力をかけて車検を一斉に遅らせた。

そして2011年3月11日。東電だけは予測通りブレーキ性能が足りず、大事故を起こした。
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