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老人の金を狙う弁護士たち
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K弁護士が親父にサインさせた契約書。紛争などないところに事件を勝手に起こして、軽く100万円にはなろうかという着手金やら報酬金やら日当を支払え、という内容
NTTもNHKも、介護施設に入った認知症老人を追いかけてまで金を取ることはできないだろう。
それよりもやっかいなのは、認知症老人を狙って金を取ろうとする弁護士の存在だ。
お袋が亡くなったのは8年前。親父には「お袋が残しているはずの預金などはどうなっているのか」と何度も訊いたが、「知らない」の一点張りだった。
それが今回、ようやく一部が見つかった。
今回、親父が自分名義の預金をすっかり使い果たしていたことが判明し、住んでいる賃貸マンションの家賃も払えなくなり(実際には質素な生活をすれば年金の範囲内で家賃は払い続けられるはずだが、金が入ればすぐに買い物をしてしまう買い物依存症が治らないので不可能)、もともとの家に戻るか、家を売って金を作るかという話になった。
家には50代の今まで、まともに仕事をしたことがない妹がひとりで住んでいて、ゴミ屋敷になっている。
親父と妹はずっとまともに会話をしていないで、親子関係が崩壊している。「ここに一緒に住むなんてありえない」と言って家を出て、横浜のマンションを借りてひとり暮らしを始めた親父が、今さら戻るなんてことは到底無理だろうし、家を売って金にするといっても、ウルトラ級のゴミ屋敷を空にするだけでも何百万円もかかるだろうし、そこには妹が住んでいるのだから無理な話だ。
僕はどちらも無理だろうと思ったので、「そんなことを考えるより、年金だけで今の生活を続ける努力をしろ」と諭したが、買い物依存症は止まらず、年金が入るとすぐに使ってしまい、家賃を支払えなくなる。
家を売るにしても家に戻って娘と一緒に暮らすにしても、まずは二人で話し合わなければダメだろ、と言って、妹にもその旨、手紙を書いたが(僕と妹も、子供の頃からずっと会話がない)、それを読んだ妹がパニクって弁護士に相談したらしい。
その弁護士は、依頼者である妹にも、預金を使い果たしてあとは月々の年金しかない親父にもまとまった金はないが、死んだお袋の預金が残っていると知り、その金額を妹に調べさせて、そこからごっそり手数料を取ろうと考えついた。
そこでまずは認知症だと分かっている親父に近づき、オールマイティの委任状にハンコを押させた。
このことを僕は一切知らされていなかった。
親父が電話で「あのKという弁護士に依頼したのはよしみつか」と、妙なことを言ったので、初めてそういう危険人物に狙われていることを知り、「絶対に近づくな。近づけさせるな。連絡があっても無視して応じるな」と何度も言いきかせ、親父も「分かった」と繰り返していたが、しっかり騙されて契約書やら委任状やらに署名捺印させられていたことが今回の部屋の掃除で分かった。書類のコピーが出てきたからだ。
親父を問い詰めると、「事務所に呼ばれたから行っただけだ」「でも、そんな大金を払うような契約書なんか知らないし、署名なんかしていない」と言い張る。
その契約書はひどいもので、そもそも存在していない「遺産相続示談交渉事件」などと銘打っている。
着手金約30万、報奨金約60万、他に日当が1日3万2400円などとなっている。日当などはいくらでも「何日仕事をした」といえばつけられるわけで、軽く100万円はこのK弁護士に支払うような内容だ。
そもそもお袋の法定相続人のひとりである僕は、この件についてまったく知らされていないのだから、相続を巡る「事件」など存在していない。3人が話し合って協議書を作って銀行に持っていけばいいだけの話で、K弁護士が介入してくる余地など最初からないのに、妹がこういう弁護士に話を持ち込んだからつけ込まれた。