「小保方事件」スマートガイド
2014-04-12


小保方事件の読み方

「小保方事件」は、マスメディアの騒ぎ方が馬鹿なので、多くの人は「くだらん」と唾棄しているけれど、こないだの佐村河内事件に比べると、ずっと複雑で、興味深い。小説家的には、想像を超えていろいろなことを考えさせられる事件になってきた。
小保方さんのかなり特異なキャラクターと能力、昔からある利権と権力欲、成功への怨嗟などが渦巻く闇世界、その「業界」の中における生命倫理と哲学の欠如、現代デジタル文明がもたらした薄っぺらな慣習(コピペだのレシピだの)に人間が慣らされてしまっているという恐さ……ものすごくいっぱい、違う種類の要素がごった煮になったような事件だ。
僕自身、解釈が二転三転したが、現時点で簡単にまとめると……
  1. 業界(生化学、遺伝子工学、医学界)の中ではすでに真相はほぼ把握できている。今回の騒動は誤認と不正が絡み合ったお粗末な論文が「NATURE」に発表されたというだけの事件。医学的に意味のあることではなかったという結論
  2. 小保方さんが「STAP細胞」と主張しているのは、単なる誤認。それを自分で強く信じ込むところから、都合の悪いものを次々に書き換えたりすり替えたりして、ひどい論文ができあがってしまった。監督する立場の副センター長や、検証作業に協力した第一線の著名研究者もみんな、まさか「インチキデータ」だとは思わなかった
  3. あまりにもお粗末でとんでもない内容だったので、理研は権威失墜、メンツ丸つぶれを畏れて、すっきり説明したがらない(理研が追試するというのも、事実上はゼロからやり直して、何かこれに代わるものを発見・申請したいというかすかな希望からのことだろう)
  4. しかし、小保方さんはただの「おっちょこちょいで未熟で常識を持たないまま育ってしまった研究者」というだけでなく、他人(特に中年男性)を取り込む能力に長けた特殊な才能と(容貌を含めた)個性を持っていた。これがさらに事態を迷走させた

……と、まあこんなところだろう。
彼女が何をしたのか、については、藤沢数希氏がブログに連投している内容が概ね当たっているのだろう。
小保方晴子が200回成功したと言っているのは、このOct4-GFP発現のことだ。これ以外に、あの期間に200回以上できる実験はない。そして、この点に関してだけは、僕は彼女は正直であった、と信じている。
小保方晴子はOct4-GFP発現を観察して、STAP細胞ができたと思い込んだ。PhDを持っておらず、細胞生物学に詳しくない、基本的には医者のハーバード大のバカンティ教授も、これでSTAP細胞ができたと思った。この有望な実験結果に、共同研究者たちは彼女に称賛を送った。しかし、これは見せかけの発光である。実際に、iPS細胞のように初期化が起こったわけではない。これは万能細胞ではないから、テラトーマはできないし、キメラマウスもできない。
「謎はすべて解けた!! それでも、STAP細胞は捏造です」藤沢数希
フェイスブックでいろいろ教えてくれる人がいて、僕もちょこちょこ調べてみたのだが、STAP細胞の特許申請にある「発明者」は、Charles A. Vacanti, Martin P. Vacanti, Koji Kojima, Haruko OBOKATA, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Masayuki Yamato となっていて、筆頭はバカンティ兄弟。
出願者は The Brigham And Women's Hospital, Inc., Riken, Tokyo Women's Medical University。
バカンティ兄弟は以前から持っていたSTAP細胞の「アイデア」をなんとか実証して特許申請したかった。しかし、その技術や実力がないから、他の研究者にやらせて、その成果に乗っかるしかない。
理研は、この分野で京大や東北大に先を越されてしまったという焦りがあった。エネルギーのある小保方研究員は、「ひょっとしたら万馬券になるかもしれない」カードとして動かしていた

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