「いい人」たちが国を滅ぼす (選挙前シリーズその4)
2012-11-27


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■「人夫出し」ビジネスの実態■


↑長野から原発作業員として1F(いちえふ)入りした40代男性のリポートがここにある。
記事としては週刊プレイボーイがしっかりまとめている⇒こちら

事故から1年8か月経ってもまだ「7次受け」などという人夫出し(にんぷだし)ビジネスが残っていて、被曝線量の管理などもデタラメが続いていることが如実に分かる。

動画の後半に登場する「6次受け」の担当者が説明するシーン。

「あれは半減されますから。線量は。ず〜っと溜まっていくわけじゃなくて、8日経てば、その分、あびた分は半減になりますから。例えば今日1ミリになりました。次の日に1ミリで、そうすっと2じゃないですか。でも前の日にあびた分の1(ミリシーベルト)の8で割った分は下がりますから。全部蓄積じゃないですからね。全部蓄積だったら、俺なんか半年も入ってらんないですから。今日1あびたとしますよね。でも、8日間何もしなかったらゼロですから。いや、間違いないです(笑)」

二重三重に間違ったことを平気で作業員に教えているこの「担当者」の福島弁がものすごく懐かしかった。
この人が言っている「8日で半減」というのはヨウ素131のことだろうが、そもそも原発が停まって1年8か月も経っているのだから、1Fの構内にもヨウ素131はもう残っていない。
内部被曝と外部被曝の違いどころか、実際に人体があびてしまった被曝量と放射性物質の半減期にはなんの関係もないということも理解できていない。
この口調からして、彼は嘘を言っているつもりはなく、本当にそう思いこんでいるのだろう。

まさにこののほほんとした「いい人」口調の福島弁が行き交う村に7年住んでいた。
だから、この問題の根深さはよく分かっているつもりだ。

「原発やめろ」の前にまず地元の構造を解体する必要がある

週プレの記事の中で、リポートした林哲哉氏とインタビュアー役の桐島瞬氏のこんなやりとりが載っている。(そのまま転載)

  作業員を東電が直接雇えばいいんです。もしくは国策なんだから作業員を公務員化する。それが無理なら、せめて元請けがちゃんと雇用して面倒を見てあげる。横並びになれば、多少は報われると思います。

桐島 そうすれば給料のピンハネもされないし、労働条件は守られますね。原発自体はどう考えていますか。

  半減期まで何万年もかかるような核のゴミを処理できないのなら、原発を使うべきではない。それから、田舎で人のいない所に造って、そこにお金で縛りつけて、原発がなければ町が立ち行かなくなる状況に追い込むシステムが一番気に入らない。事故が起きたら作業員の犠牲は必ず必要になるということもはっきり実感しました。そんなシステムはやっぱり間違っていると思います。


……まさにその通りなのだ。
雇用形態を一元化すればいいだけのこと。
しかし、それをできなくさせているのは「地元」勢力であるということもぜひ知ってほしい。
地元の有力者が人夫出しビジネスを仕切っていて、地元議員、土建屋利権集団を通じてガッチリと一大勢力を築き上げている。それを無視して生きていくことはできないと、地元に暮らしている人たちはみんな考える。
実際できないのだ。
颱風で道が崩れた、橋が流された、年寄りしかいない家で助けを求めている。そうした状況で助けてくれるのも彼らなのだから。
こうしたコミュニティの中で、地元住民は毎日大根をあげたりもらったり、一緒に楽しく酒を飲み、選挙のときには雨が降ろうが槍が降ろうが「いちばんお世話になっている候補者」に一票を入れるために投票所へ出向く。
この構造的な問題を解決できない限り、30km圏が立ち直るのは無理なのだ。


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