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関東・東北に住み続けるという「賭け」
柏市(千葉県)根戸高野台の市有地で毎時57.5マイクロシーベルトというとんでもない空間放射線量が検出された。市が土壌を調べたところ、1キロあたり最大27万6000ベクレルの放射性セシウムを検出した
(毎日新聞。10月22日)と発表した。
こういうことは今後もあちこちで起きるに違いない。つまり、今自分が暮らしている土地が比較的汚染が軽度だったとしても、知らないうちに危険地域になってしまうことはありえる。
一方、福島第一原発では、4号機の核燃料保管プールが建屋ごと崩壊し、中の使用済み(4号機では「使用中」も含む)核燃料がぶちまけられるのではないかという恐れがずっと続いている。
これは反原発の科学者から推進派だった専門家まで、異口同音に指摘している「今いちばん起きてほしくない事態」であり、その可能性は誰も否定できない。
4号機が倒れるというような事態になったら、あるいは他の予期せぬ事態が起きて高濃度の放射性物質が再び漏出したら、そのときの気象条件次第で、関東・東北のどこでも、飯舘村や津島並みの汚染になりえる。
関東・東北はすでに広範囲にわたって放射性物質が降下してしまった。都内、神奈川あたりでも0.1μSv/h超はあたりまえのことで、これは今後も当分下がらない。
福島第一原発の処理は、今後数十年かかっても「安定」的な状態に持ち込むことは不可能だ。
原子力を推進する側にいた人間もそのことは十二分に理解している。
//これほどの事故を起こした原子炉を廃炉にすることは、歴史上、全く前例の無い取り組みです。通常の原子炉であれば、過去に廃炉にした例はありますので、技術的にも可能ですが、それでも数十年規模の時間と膨大な手間と費用がかかります。
しかし、福島原発の場合は、核燃料がメルトダウンを超えて、メルトスルーを起こしているわけです。通常の健全な核燃料であれば、上から一本一本、遠隔操作で引き揚げていけばよいのですが、福島原発の場合は、その核燃料が溶けて崩れ落ち、格納容器の下部と融合している可能性があるわけです。
しかも、その放射能は、人間が近づいたら数時間で死亡するほどの高いレベルです。それは、私のような放射性廃棄物の専門家からみても、目を覆いたくなる状況であり、この状況の原子炉を安全に解体し、廃棄物を撤去することは、現在の技術では極めて難しく、廃炉が実現できるとしても、その計画立案と技術開発を進めるだけで、そもそも数十年はかかるでしょう。
そして、その数十年の間は、極めて高い放射能を持ち、形を留めずに溶融した核燃料という、まさに高レベル放射性廃棄物が、福島第一原発サイト内に存在し続けるわけです。さらに、将来、廃炉が実現できたときには、取り出した膨大な高レベル放射性廃棄物の「中間貯蔵」と「最終処分」の問題が待ち受けています。(国民の信頼を失った日本の原子力行政 野田新政権が答えるべき「7つの疑問」――田坂広志・元内閣官房参与/多摩大学大学院教授インタビュー 〜 週刊ダイヤモンド)//
溶けた核燃料が今どこにどのような形で存在しているのかさえ誰も把握できていない。おそらく、圧力容器を突き抜けた分は格納容器の底を突き破り、一部は地下まで達しているだろうし、一部は壊れた配管を通してあちこちに拡散している。
さらには、国はなかなか発表しようとしないが、プルトニウムやストロンチウムといった、ごく微量であっても身体に取り込んでしまったらセシウムよりはるかに怖い核種が広範囲に飛び散ったことも間違いない。
福島県内で今後、金さえ出してくれればなんでもやるという「除染」が一斉に始まると、こうした恐ろしい核種がさらに再拡散し、体内に取り込んでしまう確率が上がる。
こうした状況の中、もはや関東・東北に住むことは一種の「賭け」だなと思わざるをえない。